復元整備事業が進み、江戸時代の復元建物が建ち並ぶ出島ですが、明治時代に建てられた建物が2棟現存していることをご存じでしょうか。この冬出島では、明治期建物のうちの一つ、「旧長崎内外クラブ」に焦点をあてた企画展を開催します。
長崎内外倶楽部は、明治32年(1899)にトーマス・ブレイク・グラバーの息子である倉場富三郎らを発起人として設立した国際的な社交クラブです。明治36年(1903)にフレデリック・リンガーによって出島内に新築移転され、その後は、明治・大正・昭和の三代にわたり、晩餐会や玉突競技会などの交流のための多彩な行事が行われるなど、華やかな運営がなされました。昭和43年(1968)に長崎市が建物を購入してからは、活用や保存修理のための工事が行われ、明治期から残る洋館「旧長崎内外クラブ」として大切に保存、活用をしています。
今回の企画展では、運営当時の様子を伝える資料や、設立に関わった人々にゆかりのある資料、修理に関する資料等を展示し、建築と歴史の両面から建物の魅力を紹介します。
出島では今年(2024)の10月から来年(2025)1月頃にかけて、「旧長崎内外クラブ」の改修工事を行います。企画展開催中は、実際の建物の外観や内部の見学はできませんが、展示室にて、写真をたくさんご用意していますので、ぜひこの期間に足をお運びいただき、内外倶楽部が重ねてきた歴史や、建物保存のための取り組みについてご理解を深めていただけるきっかけになれば幸いです。
令和6年10月18日(金)~3月2日(日)
※1月6日(月)からはパネル展示のみ
企画展の観覧は無料です。(別途出島入場料が必要)
詳細はチラシをご確認ください。
(長崎市 出島復元整備室 学芸員 和田奈緒)