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シーボルト来日200周年 Vol.5 シーボルトの仲間たち – 【公式】出島〜dejima〜

お知らせ

2023/08/01 復元整備室からのお知らせ
シーボルト来日200周年 Vol.5 シーボルトの仲間たち

シーボルトは日本での仕事にやる気満々でしたが、彼一人だけでは満足いく研究はできません。調査に出るためには奉行所の許可が必要で、日本人役人の随行が必須、調査範囲は長崎の直轄領内かつ日帰りできる範囲限定…と、制限だらけです。彼が広く日本を研究するためには仲間の存在が不可欠でした。

シーボルトの名声を聞きつけた人々が日本全国から彼のもとへやってきて、美馬順三や伊藤昇廸をはじめとする多くの人が門人となり、医学や蘭学などを教わりました。同時に論文や珍しい動植物の提出、調査への同行など、日本研究の手助けをし、協力のお礼に、シーボルトから医学修学の証明書や医学書、医療器具などが贈られました。また、剥製や標本づくりなど、作業に関わった人物として熊吉や源之助の存在も良く知られています。

他にも、彼の要請で来日した薬剤師ビュルゲルや画家デ・フィレニューフェは日本研究の助手として活躍。東南アジア系の使用人オルソンは身の回りの世話役として彼にとって欠かせない人物でした。

たくさんの人に囲まれたシーボルト。彼には人を惹きつける魅力があったのかもしれませんね。

『宴会図』には、カピタン部屋に集まり抜群のロケーションで食事を楽しむ商館員の姿が描かれています。画面奥で大きな肉を切り分ける、緑色の帽子をかぶった商館員、彼こそがシーボルトではないかといわれています。そう考えると、彼の後ろに佇む女性はお滝さん、給仕に励む使用人はオルソンでしょうか。色々な想像ができる楽しい絵です。次回はこの絵を残した絵師、川原慶賀についてお届けします。

(長崎市 出島復元整備室 学芸員 和田奈緒)

川原慶賀筆『唐蘭館絵巻』蘭館図(宴会図)、長崎歴史文化博物館蔵
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