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シーボルト来日200周年 Vol.8 尊敬する先達たち – 【公式】出島〜dejima〜

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2023/11/01 シーボルト来日200周年記念コラム
シーボルト来日200周年 Vol.8 尊敬する先達たち

出島の表門のかたわらに、ひっそりと建つのは県指定史跡『ケンぺル・ツュンベリー記念碑』。この三角形の大きな石碑は、シーボルトより先に来日し、日本の研究を行ったケンペル(1690年来日)とツュンベリー(1775年来日)の偉業を顕彰するために、文政9年(1826)にシーボルトが建立したものです。碑面には先達を称える文章が刻まれ、シーボルトのサインも見られます。  

 エンゲルベルト・ケンペルは、シーボルトと同じくドイツ人医師で博物学者。2年間の日本滞在中、我が国の地理、政治体制、歴史、貿易などの研究を行い、その詳細がまとめられた『日本誌』は、日本を広く正確にヨーロッパに紹介したはじめての書籍として知られています。江戸参府にも同行し、江戸城での将軍徳川綱吉への謁見時の様子も、本書に詳しく記されています。

 カール・ペーター・ツュンベリーはスウェーデン人の医師、植物学者。ウプサラ大学で植物学者として高名なリンネに師事し、日本でも植物学研究を行い、帰国後『日本植物誌』をあらわしています。本書をシーボルトが持参し、長崎留学から帰る伊藤圭介に贈ったというエピソードがあります。

 記念碑は、当初、シーボルトが日本研究の拠点とした出島の庭園に建てられましたが、シーボルト事件の影響を受け、人目に触れないよう地下に埋められたとのこと。その後、シーボルトが日本政府から許されたのち、掘り返されましたが、一時は出島の外に移転されました。当該地には、昭和31年(1956)に設置され、昭和35年(1960)に県の史跡に指定されました。

シーボルトが著した『日本植物誌』の中表紙には、この記念碑が象徴的に描かれていることから、出島の庭園が彼の植物学研究において、大きな役割を占めたことがうかがえます。

『日本植物誌』フロラ・ヤポニカの中表紙
京都大学理学研究科生物科学専攻図書室所蔵
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