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【出島和蘭商館跡 史跡指定100周年Vol.5 】出島の史跡整備③ 建物の復元 – 【公式】出島〜dejima〜

お知らせ

2022/09/01 史跡指定100周年記念コラム  
【出島和蘭商館跡 史跡指定100周年Vol.5 】出島の史跡整備③ 建物の復元

出島には現在、16棟の復元建物が、当時建っていた場所に当時の姿で建っています。およそ200年前(19世紀初頭)の建物をどのように復元したのでしょうか?
 当時の仕様書や図面はほとんど見つかっていません。内容を明らかにするため、様々な資料を調査しました。

まず、配置と規模は『出島麁絵図』を基本としました。この絵図は、19世紀初頭の出島の様相を示すと判断されるもので、各建物の名称や用途、建物の所有者名などが記入されています。正確な位置と寸法の割り出しは、発掘調査で検出された建物礎石や基礎跡が根拠となりました。

間取りや用途は、ブロムホフの出島模型とドゥーフの解説が参考にされました。商館長ブロムホフが着任時に日本で作らせ、本国に送った出島模型は、建物内部まで詳細に作られています。本国では前商館長のドゥーフが、この模型について配置図と解説を作成しました。

仕様や部材の寸法は文献や、類例調査等から決定しました。代々の商館長の公務日記からは、建物の位置関係や用途の他、建物の修理や再建時期が分かります。類例調査は、市内に残る江戸後期〜明治期の町屋や、土蔵、洋風建築等を対象としました。出島の建物は長崎の大工による建築なので、これらの現存する建物が参考になりました。

 他にも幕末以降の古写真や、当時描かれた絵画等も復元の参考にしています。もちろん、絵画や模型がすべて現実に忠実に制作されたとは限りません。発掘調査では、後の時代の改変で遺跡が壊されていることもあります。復元の際には、その点も考慮し、慎重に調査が行われました。

長崎市 出島復元整備室 学芸員 和田奈緒)

『出島麁絵図』カピタン部屋の部分
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