史跡指定100周年記念コラムも今回で第7弾です。
これまで、出島の史跡整備や、出島の価値にスポットを当てて特集を組んできましたが、そもそも「史跡」とはいったい何でしょうか?
よく似た言葉に「遺跡」があります。遺跡は、過去の人々の生活の痕跡を表す物や場所を指す言葉です。土器や古墳、城跡等と聞くと想像しやすいかもしれません。
この遺跡の中でも歴史・学術上価値が高く、「文化財保護法」に基づいて指定されるものが「史跡」です。指定の制度が開始されたのは大正8年(1919)。明治以降の近代化に伴う土地開発等により、遺跡や天然記念物が破壊される状況が見られました。この状況を受け、物や建物だけでなく、これらの文化財に対しても保護を必要とする議論が起こり、「史蹟名勝天然記念物保存法」が成立しました。出島は、この制度が開始されてから間もない大正11年(1922)10月12日に国の史跡に指定され、これまで100年もの間、文化財として保存・活用が図られてきました。
どうして出島は国の史跡に指定されたのでしょうか?また、100年間で出島はどのように変化してきたのでしょうか?史跡指定100年の節目を迎える今年、出島の100年のあゆみを振り返る企画展を開催します。本展では、ヒト、モノ、情報が行き交った出島ならではの資料や、整備を進める中で行われてきた発掘調査の成果などを紹介し、史跡「出島和蘭商館跡」としての歴史や価値に改めて注目します。出島のこれまでとこれからをご観覧ください。
令和4年10月12日~12月18日。企画展は無料(出島入場料が別途要)
(長崎市 出島復元整備室 学芸員 和田奈緒)