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【企画展SP第1弾】穴いっぱい!チューリップ用の花瓶 – 【公式】出島〜dejima〜

お知らせ

2021/01/28 復元整備室からのお知らせ
【企画展SP第1弾】穴いっぱい!チューリップ用の花瓶

今回は、中止になってしまった企画展解説の代わりに、展示されている『うつわ』についてご紹介させていただきます。

オランダの花と言えば、一番に思い出すのはチューリップ。花の国オランダでは、春から夏にかけて、さまざまな花が咲き乱れ、とくにキューケンホフ公園はぜひ訪れたい名所の一つです。もともとチューリップは、トルコ原産の花ですが、16世紀にヨーロッパにもたらされると、オランダで品種改良がなされ、17世紀前半には、その球根が高値で取引きされたと言われます。

3月のキューケンホフ公園

このチューリップに対する愛が、チューリップを生けるための特殊な花瓶を生み出し、オランダではたくさんの花をそれぞれに生ける口を持った花瓶が必要と
されました。

この花瓶は、有田製の型を用いて製作されたチューリップ用の特殊な器形のうつわ。両端に鳳凰の頭部が付けられ、胴部の中心には田代家の「丸に木瓜(ぼけ)」の家紋が金彩で描かれています。

田代家は、佐賀藩から有田焼輸出の許可を得てオランダ貿易を開始した久富家から、安政3年(1856)その権利を継承し、「肥碟山(ひちょうざん)信甫」銘で多彩な製品を製造し、海外に向けて輸出しました。有田、三(み)川内(かわち)などの窯焼に生産を委託するほか、自社でも窯場を操業し、肥碟山ブランドを確立しました。

本来は輸出用ですが、花器の名品を手元用に置き、家紋を入れて大切にしたものと思われます。

上からみると、花を生ける口は13箇所、後ろからみると、田代銘が朱書きされていますが、その他は何も描かれていません。
壁際に飾れば、大丈夫ですね。        

長崎市 出島復元整備室

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