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【企画展SP第2弾】浮世絵とうつわに描かれた女性像 – 【公式】出島〜dejima〜

お知らせ

2021/02/02 復元整備室からのお知らせ
【企画展SP第2弾】浮世絵とうつわに描かれた女性像

今回は第2弾、中止になってしまった企画展解説の代わりに、展示されている『うつわ』についてご紹介させていただきます。

浮世絵は、江戸時代から明治時代中期に盛んに制作され、役者絵、美人画、名所絵、武者絵など多様な題材がみられます。手描きによる肉筆画、
木版多色摺の錦絵が一般的で、長崎版画も広い意味では浮世絵の中に分類されています。

江戸時代の美人画は絵師の特徴を盛りこみながらも、写実という点では迫真性に欠け、類型化した表現であったと言えるでしょう。
近代にはいり、時代が進むにつれ、美人の概念も変化し、日本画の伝統に清新な表現を加えた美人画が登場します。やがて明治時代後期にはいると、石版画や写真の
普及で、伝統的な浮世絵は衰退していきました。

浮世絵に描かれた日本女性は、上級階層や市井の婦人、娘たちなど、様々な女性が対象となりましたが、中でも多かったのは、当時の男性たちのあこがれであった
花魁、芸者などの艶やかな女性たちを描いたものでした。メディアとして美しい絵姿を伝える浮世絵は、ブロマイドの一種であり、海外に運ばれた浮世絵の花魁や芸者の姿は意匠化されて固定し、日本女性のステレオタイプとなっていきます。

「深川品川屋楼上之図(ふかがわしながわやろうじょうのず)」
明治2年(1869)  落合芳幾画
中央に描かれた雲井をはじめとして、17名の上級の遊女が画面いっぱいに描かれている華麗な錦絵。遊女たちは梅花や水仙など、春の花々を生けている。遊郭の豪壮さと、美貌だけでなく教養もある女性たちであることを宣伝もかねて示している。

こうした状況を反映して、幕末から明治時代に日本国内で生産された輸出向けの磁器も、これまでの中国と日本を一括りとした東洋的デザインではなく、日本の風俗をモチーフとしたものへと切り替わり、ジャポニスムによる海外需要を受けて、着飾った和装の女性たちや時には武者を、うつわに描きました。

色絵江戸美人文盆 有田・田代 1850-1870年代 
九州陶磁文化館蔵 有田 田代家寄贈
両端に持ち手を付けた輸出向けの皿。洋食器を意識しており、ヨーロッパではフルーツやスイーツを盛るのに用いられた。絵柄は、浮世絵から採ったとおぼしき芸者を中心に、歌舞伎から採った男性、風景は歌川広重の「東海道五拾三次」の内「丸子・名物茶店」を採用している。

これらのモチーフは、欧米において日本を象徴するアイコンとして認識され、幕末から明治前期に有田で製作された肥前磁器が、長崎を通じて輸出されました。西洋食器の器形に日本風のデザインを施した華麗な磁器は、海外で人気を博し、また、西洋でも、これらを模した「日本」をテーマとするデザインの工芸品が製作され、
日本趣味の流行を拡散させていく役割を担いました。

出島企画展『ジャパニーズビューティ うつわに描かれた女性たち』会期は、令和3年2月23日まで。

長崎市 出島復元整備室

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